長岡高専

長岡工業高等専門学校・電子制御工学科

< 取材日:2020/12/15 >

山本雄飛さん
―サウンドプログラマになりました

略歴
2018年 電子制御工学科卒業
2020年 電気通信大学 情報理工学域I類メディア情報学プログラム卒業
2020年 株式会社スクウェア・エニックス サウンド部 サウンドプログラマ
入学のきっかけ
ゲームプログラマを目指し始めたころに、高専では早くからプログラミングを学べることを知り、高専への進学を目指しました。 私は中学生までは沖縄県宮古島市に住んでいたのですが、父が上越市に住んでいたこともあり、沖縄高専と長岡高専のどちらに進学するか選ぶことができました。 長岡高専を選んだ決め手は、陸路で帰省できることと任天堂への就職実績があったことの二つでした。
高専時代の思い出
文化祭の学科対抗演劇と、友人と二人でロボットを開発したことが特に思い出に残っています。 演劇ではさまざまな部門の人と協力して一つの作品を作り上げる貴重な経験が出来たほか、演劇を通じて先輩達とも仲良くなれたことが印象に残っています。 ロボット開発ではソフトウェアを担当し、ロボカップジュニア・サッカー部門という競技で世界大会に出場することを目標に取り組んでいました。結果として世界大会には出場できませんでしたが、得るものはとても大きかったです。
大学生活
編入時の単位認定は大変な作業でしたが、電通大では入学直前に編入生向けのガイダンスがあり、そこで編入生の先輩方からアドバイスをいただけたため不安は少なかったです。 私の場合は他の編入生よりやや少ない程度の単位が認定され、履修した授業の数は平均して一日当たり3コマ程度でした。 そのため、授業が一つもない曜日はありませんでしたが、平日の日中にも技術系のアルバイトをしたり、勉強会に参加したりといった課外活動ができる程度の余裕はありました。
現在の仕事
新卒として入社して8ヵ月が経ち、徐々に仕事を任されるようになってきました。 サウンドプログラマの主な仕事は、サウンドドライバ※1の開発とサウンドデザイナーが使用するツールの開発で、現在はサウンドドライバに小さな機能を追加する仕事や、サウンドドライバの不具合を修正する仕事などで経験を積んでいます。
※1:ゲーム内の音を管理するプログラムで、効果音の数を管理して音割れを防いだり、ゲームの状況に合わせて音にエフェクトをかけたりと様々な機能があります。
サウンドをコンピュータ上で扱う際にはwavファイルが基本の形式になるのですが、長岡高専4年次の実験の信号処理やフーリエ変換で学んだことが非常に活きています。 信号処理はレポート課題が非常に多く大変な実験ですが、wavファイルを扱えるプログラマは貴重な人材なので是非頑張ってください。
後輩へのメッセージ(図書館の活用)
卒業してから気づいたのは、長岡高専の図書館の希望図書リクエストは大学と比較してもかなり希望が通りやすく、実は凄い制度だったことです。 大学の図書館にはライトノベルがまったくといっていいほどありませんでしたし、趣味(楽器やイラストなど)に関する本もほとんどありませんでした。 長い高専生活、希望図書リクエストを活用して趣味に磨きをかけるのも悪くないと思います。
ゲームプログラマを目指す後輩へのメッセージ
まず、長岡高専の電子制御工学科の専門科目で習ったことの多くが実際に仕事で役立っています。なるべく身につくように勉強しましょう。 ただ、授業の内容だけでは不足していることも確かです。ゲーム機やWindowsで動くゲームの開発ではC++やC#を使うことが多く、どちらの言語でもC言語には無いクラスという概念が重要になります。 ですから、少なくともクラスについては自習が必要になります。
次に、高専時代にやっておいて良かったことはコードをたくさん書いたことだと思っています。作るのはゲームでなくても全然かまわないと思います。 実際、私が授業以外で作っていたのはロボットの制御プログラムがほとんどでした。たくさんコードを書いてプログラミングに慣れることで、徐々に分かりやすさや保守性を意識したコードを書けるようになっていくと思います。
最後になりますが、実際にゲーム開発で使われている技術を知ることもかなり大切です。 CEDECというイベントで様々な企業の開発者が、最新のゲームがどのように作られたかを発表しており、ほとんどの発表資料がCEDiLというサイトで閲覧できます。 CEDECは参加費が必要ですが、CEDiLの資料は無料で閲覧できるのでチェックしておきましょう。
これを読むと勉強することが多いように見えますが、受験勉強がなく夏休みと春休みが長い高専生なら、遊ぶ時間も勉強する時間も充分にあるはずです!頑張ってください!
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