技術者教育プログラム
ENGINEER EDUCATION PROGRAM

長岡高専では、本科4,5年および専攻科1年、2年の4年間のカリキュラムで構成される教育プログラム「生産システム・環境工学プログラム」を設けています。

この教育プログラムは、日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education :略称JABEE)の「工学(融合複合、新領域)関連分野」の基準にも対応しており、本校では平成18年5月8日に認定されました。JABEE認定証  JABEE認定証(認定分野変更2013年度)

1.JABEE認定制度について

JABEE認定制度とは、専攻科を持つ高専や大学など高等教育機関で実施されている技術者教育が、社会の要求水準を満たしているかどうかを外部機関が公平に評価し、要求水準を満たしている教育プログラムを認定する専門認定制度です。

JABEE認定された教育プログラムの修了者は、技術士としての基礎的な学力を有していると判断され、技術士第1次試験の学科試験が免除されます。これにより技術士の基礎資格である「修習技術者」の資格が得られます。

2.長岡高専でのJABEEへの取り組み

本校では、以前よりカリキュラムの改訂や教育方法の改善等に努めてきましたが、平成12年4月に専攻科が設置されたのを機に、JABEE認定を目指して準備をしてきました。平成16年度には、機械工学科、電気工学科、電子制御工学科、物質工学科、環境都市工学科の本科5学科の4,5学年と、電子機械システム工学専攻、物質工学専攻、環境都市工学専攻の専攻科3専攻の1,2学年の合計4年間の課程を融合しすべての学生を対象とした「生産システム・環境工学」プログラムを設けました。また、このプログラムに対する審査を平成17年度に受けました。

3.学習・教育到達目標

→ 学習・教育到達目標 一覧表はこちら

長岡高専では、「人類の未来を切りひらく、感性豊かな実践力のある創造的技術者の育成」を教育理念として掲げ、以下の7項目を持った技術者の育成を目指して、学習・教育到達目標を設定しています。さらにこの7つの学習・教育到達目標を具体化すると別紙に示すようになります。これら具体化された目標は、プログラム履修者が在学中に学習した成果としてできなければならない(できるようになる必要がある)きわめて重要な内容です。目標の一つ一つの内容を十分に理解して、日々の学習に反映させてください。

  • (A)人類の福祉と地球環境に配慮できる人間性と倫理観をもった技術者の育成
  • (B)すぐれたコミュニケーション能力と国際的視野をもち、多様な価値観を理解できる技術者の育成
  • (C)早期技術者教育の特長を生かし、科学と技術の基礎を身につけた、健全で創造性ゆたかな技術者の育成
  • (D)工学の専門知識とものづくりのスキルをかね備え、情報技術を駆使できる技術者の育成
  • (E)多面的思考力と計画力をもち、課題の解決と技術の開発を実行できる技術者の育成
  • (F)地域の産業と社会に連携し、時代の要請に応えられる実践力のある技術者の育成
  • (G)自発的学習能力を身につけ、継続的に自己啓発のできる技術者の育成

4.JABEE認定基準について

JABEEは4つの認定基準(1~4)を定めており、基準1.2には、次の9項目の学習・ 教育到達項目が掲げられています。本校の技術者教育プログラム「生産システム・環境工学」がJABEEの認定を受けようとすれば、本校の学習・教育到達目標がそれらと対応していなければなりません。また、本校の教育技術者プログラムが、「工学(融合複合・新領域)および関連のエンジニアリング分野」で審査を受けるため、次の分野別要件をも満たす必要があります。本校の設定した教育プログラムは、本科のカリキュラムの上に専攻科のカリキュラムを積み上げる形で一体的に構成される「技術者教育プログラム『生産システム・環境工学』における学習・教育到達目標に対するカリキュラム設計方針」に基づいて、本科4年から専攻科2年までの4年間において,JABEEの認定基準1.2で示されている学習・教育到達目標,知識・能力観点(a)~(i)の9項目を満たすとともに、「融合・複合新領域の分野別要件」をも満たすようにカリキュラムが設計され、科目の流れ図のように科目を配置していますので、心配なく勉学に励んでください。

基準1.2

  • (a)地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養
  • (b)技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、及び技術者の社会に対する貢献と責任に関する理解(技術者倫埋)
  • (c)数学、自然科学及び情報技術に関する知識とそれらを応用する能力
  • (d)当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
  • (e)種々の科学、技術及び情報を活用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
  • (f)論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能カ
  • (g)自主的、継続的に学習する能力
  • (h)与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力
  • (i)チームで仕事をするための能力

分野別要件

本プログラムの修了生が修得すべき知識・能力は以下のとおりです。

  1. 基礎工学の知識・能力
    基礎工学の内容は、(1)設計・システム系科目群、(2)情報・論理系科目群、(3)材料・バイオ系科目群、(4)力学系科目群、(5)社会技術系科目群の5群からなり、各群から少なくとも1科目、合計6科目についての知識と能力
  2. 専門工学の知識・能力
    1. 専門工学(工学(融合複合・新領域)における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする)の知識と能力
    2. いくつかの工学の基礎的な知識・技術を駆使して実験を計画・遂行し、データを正確に解析し、工学的に考察し、かつ説明・説得する能力
    3. 工学の基礎的な知識・技術を統合し、創造性を発揮して課題を探求し、組み立て、解決する能力
    4. (工学)技術者が経験する実務上の問題点と課題を理解し、適切に対応する基礎的な能力

5.プログラム履修者の決定について

本校の技術者教育プログラム「生産システム・環境工学」は、学科4年、5年と専攻科1年、2年の4年間の課程として設定されています。学科4年に進級した学生(4年編入生も含む)は、4月当初に開催されるプログラム履修ガイダンスを受けて、確認書を提出することにより仮のプログラム履修者となります。しかしながら、学科卒業後に、就職する者や大学3年に編入学する者もいますので、最終的には、専攻科入学試験を経て一定水準以上の知識と能力を有していると判断される専攻科入学生の全員から再度「プログラム履修確認書」を提出してもらい、教育プログラム履修者と決定します。

6.科目構成と履修についての注意

本教育プログラムでの履修科目は、学科と専攻科をあわせた4年間の一般科目と専門科目からなり、教育プログラムにおける授業の流れと学習・教育到達目標との関係を示す表を学科別に示します。

本技術者教育プログラム修了者になるためには、下記の(1)~(4)の4点を満たしている必要があります。なお、修了の要件(1)~(4)のうち、(4)のみを満たすことのできなかった者が、専攻科修了後に学士(工学)の学位を取得し、プログラム修了の認定を申請した場合は、学位を取得した日をもってプログラムの修了を認定します。

(1)在学年数

学科第4学年から専攻科第2学年までの4年間にわたって在学すること。

(2)単位数の修得

本技術者教育プログラムでの履修科目から124単位以上を修得し,かつ,専攻科の修了に必要な単位数を修得すること。この要件は、各学科・専攻における「学習・教育到達目標を達成するために必要な授業科目の流れ」の中の授業科目で満たす必要があります。(進級要件にならない授業科目、外国人留学生のみが受講することを前提としている科目は、本プログラムの履修科目の対象外ですので、履修の際は注意してください。)

(3)本技術者教育プログラムにおける工学の基礎となる授業科目(基礎工学)の修得

基礎工学の内容について
(1)設計・システム系科目群
(2)情報・論理系科目群
(3)材料・バイオ系科目群
(4)力学系科目群
(5)社会技術系科目群
の各群から少なくとも1科目,合計で最低6科目についての知識と能力を有していること。
※各学科・専攻において基礎工学とする授業科目

(4)学士(工学)の学位の取得

学習・教育到達目標を達成するために考慮すべき事項

また、学習・教育到達目標を達成するために、次の(ア)~(カ)をも考慮する必要があります。

  • (ア)学習・教育到達目標(A)を達成するために、「科学哲学」と「大気水圏環境科学」の単位を修得すること。
  • (イ)学習・教育到達目標(B)を達成するために、「総合英語」または「実用英語」のいずれかの単位を修得すること。
  • (ウ)学習・教育到達目標(C)の(5)社会技術系科目群を達成するために、「知的財産権概論」または「地震防災計画学」のいずれかの単位を修得すること。なお、環境都市工学専攻以外の学生は、大学改革支援・学位授与機構における「学士」の学位取得に必要な修得科目に「地震防災計画学」を含めることは出来ません。(専攻科の修了要件の単位とすることは出来ます。)
  • (エ)学習・教育到達目標(D)を達成するために、「生産システム工学」と「環境エネルギー工学」の単位を修得すること。
  • (オ)学習・教育到達目標(E)を達成するために、専攻科専門科目の「特別実験」の単位を修得すること。
  • (カ)学習・教育到達目標(F)を達成するために、「地域産業と技術」と「学外実習」の単位を修得すること。

7.学生自身の達成度点検と学習への反映

学生は単位取得状況及び学習保証時間数を自分で把握するために、下記のとおり各種点検表の作成、ファイリングを行ってください。

  1. 個人別点検ファイルの作成:毎年4月当初に学科4、5学年、専攻科1、2学年に対しクリアファイルを配付します。このクリアファイルにはシラバス、学習教育目標、試験答案などを保管し、各自の個人別点検ファイル(学習ポートフォリオ)として利用してください。
  2. 試験答案・レポートのファイル化:各科目の試験答案・レポートを個人別点検ファイルに保管し、学生自身が個人カルテを作成し、適宜、到達度を点検してください。
  3. 卒業研究、専攻科特別研究の自主的学習成果のファイル化:学会発表成果(要旨等)を個人別点検ファイルにファイリングしてください。最終的には、まとめて指導教員に提出してください。
  4. 学習目標毎の単位取得状況の確認:専攻科1、2学年に対し学習目標毎の単位取得状況を確認するための集計表(電子ファイル)を配布しますので、各自で取得科目単位数の把握をしてください。

8.単位認定および学力評価についての申合せ

i 他大学等における学修成果の単位認定の取扱い

長岡高専専攻科に在学中に、大学等の教育機関で修得した単位を本校の規程に定める範囲で、本校専攻科の単位として認定(以下「単位認定」という。)するための手続きは、「専攻科生の他の高等教育機関における学修成果の取り扱いに関する申合せ」に従って行う。

ii 他の高等専門学校で修得した単位の単位認定の取扱い

長岡高専専攻科に在学中、専攻科入学以前に在籍した本校以外の高等専門学校や大学等(以下「他高専等」という。)で修得した単位を「生産システム・環境工学プログラム(以下「プログラム」という。)」の単位として認定するための手続きは、「専攻科生が専攻科入学以前に他の高等専門学校で修得した単位を「生産システム・環境工学プログラム」の単位として認定するための申合せ」に従って行う。

iii 「生産システム・環境工学プログラム」修了に必要な科目に未修得の科目がある場合の取扱い

長岡高専の「生産システム・環境工学プログラム(以下「プログラム」という。)」に登録した学生が、プログラムの修了に必要な科目であるにもかかわらず、本校専攻科入学前に未修得の科目がある場合の取り扱いは、「専攻科入学者が「生産システム・環境工学プログラム」の修了に必要な科目に未修得の科目がある場合の取り扱いに関する申合せ」に従って行う。

2004年4月1日 掲載
2009年3月10日 更新
2012年6月12日 更新
2013年4月1日 更新
2014年4月21日 更新
2021年10月20日 更新
2024年4月5日 更新

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