長岡高専

長岡工業高等専門学校・電子制御工学科

< RSSによる更新情報 最終更新日時: 2019-03-29 >

クローズアップEC【Vol.011】
特集:H30年度卒業研究,表彰テーマの紹介

金賞
「有機EL素子における連続通電時の電圧上昇メカニズム解析」
 菅井匠

有機EL素子は視野角が広い,薄型軽量,高輝度発光という特長を持つことからスマートフォンなどの携帯端末のディスプレイとして応用されている。 また,このような携帯端末に使用される有機ELディスプレイには駆動電圧の低電圧化や長寿命化が求められている。 しかし,有機EL素子は連続して素子を駆動させると駆動電圧が上昇することが知られている。 これに対し,有機層界面を混合させると駆動電圧の上昇が小さくなることが報告されているが,そのメカニズムは明らかにされていない。 そこで,本研究では二層積層型有機EL素子および三層混合型有機EL素子を作製し,連続駆動に伴う素子特性の変化を変位電流解析により調べ,キャリア挙動の観点から連続駆動に伴う電圧上昇のメカニズムを明らかにすることを目的とした。

二層積層型および三層混合型有機EL素子を作製し,連続駆動に伴う素子特性の変化を変位電流測定によって調べた。 その結果,連続駆動開始1000h後までの電圧上昇は三層混合型有機EL素子が二層型有機EL素子の半分以下まで減少した。 また,二層型有機EL素子は連続通電に伴いホール注入電圧は大きく上昇し,発光開始電圧も上昇した。 これに対し,三層混合型有機EL素子は変位電流特性に大きな変化は見られなかった。したがって,二層積層型有機EL素子における連続通電の電圧上昇は有機層界面に蓄積したホールが発光層の表面電荷を変化させることが原因と考えられた。

銀賞
「有機EL素子における素子構造とダークフレーム成長特性の関係」
 酒井優

有機EL素子には水分や酸素の侵入によって発光面の端にダークフレーム(D/F)と呼ばれる非発光領域が発生し,時間経過と共に画素が縮小してしまうといった問題がある。 これに対し,我々は冷間等方圧加圧(cold isostatic pressing : CIP)処理によって,有機EL素子の有機層/陰極界面の密着性を向上させることでD/Fの成長を低減できることを先行研究にて報告した。 一方,有機層/陰極界面を有機薄膜等で覆うことで,外部からの水分や酸素の侵入を防ぎ,D/Fの発生を低減できると考えられた。 そこで,本研究では有機層/陰極界面を有機薄膜で覆った2層型被覆有機EL素子を作製し,CIP処理と組み合わせることでD/F成長をさらに低減できるかを明らかにすることを目的とした。

Device A(CIP処理無し2層型素子),Device B(CIP処理無し2層型被覆素子),Device C(CIP処理有り2層型素子),Device D(CIP処理有り2層型被覆素子)の保存試験によるD/F成長特性を示す。 この結果より,CIP処理だけでなく,有機層/陰極界面を被覆することでもD/F成長を低減できることが明らかになった。 また,有機層/陰極界面を覆う方がCIP処理を行うよりもD/F成長を低減できることが明らかになった。 さらに,二つの方法を組み合わせることで,D/F成長をより低減できるということが明らかになった。

銅賞
「歩行者の安全支援のための携帯型移動体検出システムの開発」
 諏佐大夢

近年自動車産業において自動ブレーキシステムや自動運転システムなどの交通安全に関する技術開発が進んでいるが,受傷者となることの多い歩行者向けの安全対策への取り組みはあまり行われていない。 また広視野角カメラの高解像度化が進んでおり,画像処理に関する様々な研究で用いられている。 そこで本研究では,広視野角カメラを用いて人間の死角をカバーし歩行者周囲の車両などを検出して危険予測を行うシステムを開発した。 本研究室における先行研究ではオプティカルフローという手法を用いてシステムを実現したが,精度が高い一方で計算コストが高いためリアルタイム処理が困難であった。 そこで本研究ではオプティカルフローよりも計算コストの低い背景差分法を用いてシステムを実現した。

背景差分法には背景が変化する動画に対して適用が困難であるという問題点があるため,本研究では連続する3枚のフレームを用いて差分画像の論理積を求める手法を提案した。 これにより移動しながら撮影した動画に対しての適用が可能になった。 動画を撮影して走行車両の検出率や誤検出数について測定した結果,検出精度については立ち止まった動画では90%以上,歩行しながら撮影した動画では78%以上を得られた。 処理時間についてはリアルタイム処理を実現することはできなかった。 先行研究の結果と比べて,検出精度を維持しつつ処理速度を2倍以上向上することができた。

特別賞(学会発表を行った学生)

  • 「前庭電気刺激を用いた操船支援システムの開発」,大谷佳輔
  • 「画像データのみを用いたAIによるヒトの姿勢認識に関する基礎研究」,稲川拓真
  • 「動作技術習得時の視点自由度と姿勢認識,記憶想起性の関係」,竹見英里子
  • 「コンクリート打音点検における作業動作のモーションキャプチャを用いた可視化」,遠山陸
  • 「コンクリート打音点検における作業動作の可視化」,小林拓弥
  • 「有機EL素子における連続通電時の電圧上昇メカニズム解析」,菅井匠
  • 「異種混合発光層を持つ白色有機EL素子の作製と評価」,塩田優太郎
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