USBメモリ活用講座
【実践編・TeX 文書作成環境ポータブル化】

< 最終更新日: 2022-01-04 >

ここでは USB メモリに TeX Live をはじめとする TeX 文書作成に関連するソフトをインストールして,ポータブルな TeX 組版環境を構築する方法を紹介します. これまで本講座では,角藤先生が提供してくださっていた W32TeX のポータブル化を扱ってきましたが,2021 年 6 月末ころに配布終了となったことに伴い,新たに世界的に広く利用されている TeX Live に乗り換えることとしました. 当面の間 W32TeX 文書作成環境ポータブル化 も残しておきます.

現役の高専生が生まれる前から連綿と使われている TeX も,様々な改良・拡張が加えられて進化しています. 最初期から使われてきた pLaTeX や upLaTeX を「レガシー TeX」,より新しい XeLaTeX や LuaLaTeX を「モダン TeX」と呼び分けるようになりつつあるようです.

レガシー TeX は,ページ内の文字の配置を定める組版処理では文字を囲む箱の寸法情報を使い,字形情報は含まない DVI (DeVice Indepent) 形式のファイルを出力します. そして,画面表示 (プレビュー) やプリンタへの印刷を行う段階で,実際の字形情報を描き込みます. このようにすることで,現代の技術水準からすれば著しく演算能力や記憶容量が乏しいコンピュータでも,全く見劣りがしない高品質の出力を得ることができました. その一方で,何種類ものフォントを自在に使い分けることが難しいという制約がありました.

現代のコンピュータやスマートフォンでは,拡大縮小が自由なアウトラインフォントを,フルカラー高精細ディスプレイ上で滑らかに見えるようにアンチエイリアシング処理まで加えてリアルタイム表示することが,いとも簡単にできてしまいます. OpenType 形式のアウトラインフォントをそのまま組版処理に用いて,直接 PDF (Portable Document Format) ファイルとして出力してしまえるのが,モダン TeX の特長です.

本講座では,ひとまずインストールに必要なディスク容量を抑えたレガシー TeX を守備範囲とするポータブル化を紹介します. いずれはモダン TeX まで利用可能な組版環境の構築を目指して拡張を行うつもりです.

このポータブル TeX 組版環境は,Windows 10 のプラットフォーム上で動作します.

TeX Live ポータブル化 (最終更新日: 2022-04-11)
TeX 組版環境を構築するために必須です. これだけで pLaTeX や upLaTeX などのレガシー TeX のソースファイルをコンパイルして,PDF ファイルを生成することができます. また,文書には既存の画像ファイル (JPEG または PNG) を貼り付けることも可能です.
texdoc ポータブル化 (最終更新日: 2022-04-09)
TeX Live に付属の膨大なドキュメントを読むには,texdoc コマンドが便利です. この texdoc コマンドをポータブル環境でも活用しましょう. TeX Live マネージャによる追加作業についても解説しています.
TeX Live マネージャと jlreq ドキュメントクラス (最終更新日: 2022-04-09)
TeX Live マネージャについての補足説明と,新しいドキュメントクラスである jlreq を利用可能にするための追加作業を紹介しています.
TeXworks ポータブル化 (最終更新日: 2022-04-09)
TeX Live に標準で含まれる TeX 組版の統合環境 TeXworks を使うならば,内部処理を Unicode で行う upLaTeX を利用することを推奨します. ランチャ (TeX Live Menu) を簡単に起動し,TeXworks の補完機能を有効にする方法も説明します.
TeX 欧文フォントパッケージ活用 (最終更新日: 2022-04-11)
TeX Live ポータブル化によって利用可能な欧文フォントを紹介します. さらに,TeX Live のフォントに関するコレクションや個別フォントパッケージの追加・利用法も紹介します.
TeX2img ポータブル化 (最終更新日: 2022-01-04)
TeX の美しい数式を Web ページに貼り付けたり,ワープロソフトやプレゼンテーションソフトなどの Windows アプリケーションに貼り付けて利用したい場合には,数式を画像ファイルとして保存できると便利です. TeX2img は TeX のソースコードを入力すると,それを EPS/EMF/BMP/JPEG/PNG/PDF/TIFF 形式の画像ファイルとして出力してくれるツールです. 画像処理ツール ImageMagick のポータブル化についても解説しています.

USB メモリ活用講座付録で,TeX で実験レポートや卒論を書く上で参考になりそうなことを紹介していますので,あわせてご覧ください.