TeX Live マネージャは,TeX Live 環境を最新の状態に保ったり,関連ツールやパッケージを追加・削除したりするための便利なユーティリティソフトウェアです.
ここでは,TeX Live マネージャを使って texdoc コマンドが利用できるようにする手順を紹介します.
トラブルシュートの参考になるよう,確認のための作業も含めて説明します.
TeX Live をポータブルインストールした場合は,TeX Live Menu を常駐させ,Command Prompt を開きます.
ローカルインストールの場合は,スタートメニューの TeX Live サブメニューから Command Prompt を開きます.
なお,TeX Live のインストール作業を管理者権限 (Adminstrator) で行った場合は,それに合わせてください (TeX Live Menu を管理者権限で起動すればよいでしょう).
texdoc は,テキスト/HTML/PDF/PostScript/DVI/MD ファイルなどを,それぞれに関連付けられたアプリケーションで開いてくれます.
しかし USB ポータブル環境では,ホストとなる Windows PC に PostScript や DVI ファイルを開くためのアプリケーションがインストールされ,拡張子が関連付けられているとは限りません (TeX Live 付属のドキュメントのほとんどはテキストか,PDF か MD なのですが).
拡張子に関連付けられたアプリケーションがあるとしても,それが期待する動作をしてくれるとも限りません.
たとえば Adobe Acrobat がインストールされた PC では,PostScript ファイルは Acrobat Distiller に関連付けられており,問答無用で PDF ファイルへの変換が実行されてしまうかもしれません.
今どきの標準的な Windows PC であれば,HTML や PDF が開けないということはないと思いますが,ホスト PC 内のアプリケーションの「最近使用したファイル」などの履歴に USB メモリ上のファイルの情報が残ってしまうことが気になるという方もいるかもしれません.
さらに,テキストファイルは more コマンドによって表示されますので,コマンドプロンプトが苦手な方には使いにくいことと思われます (とりあえずは,スペースキーでページ送り,Q キーで終了といった操作を覚えておけば大丈夫なのですが).
TeX Live Menu の Command Prompt では,コマンドプロンプトを開くときに,TeX Live のインストール先 (U:\texlive\2025) の下にある tlpkg\installer\tl-cmd.bat が実行されます.
このバッチファイル (U:\texlive\2025\tlpkg\installer\tl-cmd.bat) をテキストエディタで編集してみましょう.
バッチファイルの最後に start "TeX Live" "%COMSPEC" という行があるはずですので,それより上に次の 8 行を加えます:
if defined PAGER_texdoc goto :SKIP
set PATH=%~d0\usr\bin;%PATH%
set PAGER_texdoc=wakeTXT.bat
set MDVIEWER_texdoc=wakeTXT.bat
set BROWSER_texdoc=wakeHTML.bat
set PDFVIEWER_texdoc=wakePDF.bat
set LANGUAGE_texdoc=ja
:SKIP
1 行めは,すでに PAGER_texdoc が定義済みであれば,この後の set 命令をスキップするためのオマジナイです※4.