長岡高専

長岡工業高等専門学校・電子制御工学科

電子制御工学科へようこそ
< RSSによる更新情報 最終更新日時: 2025-04-24, カウンタ: 283790 >

中学生の皆さんへ

あなたはどんなことに興味がありますか?

コンピュータ,タブレット,スマートフォン,プログラム,情報,電気,電子,ロボット,機械の制御,センサ,工作,模型,ゲーム,ラジコン… こういったものに興味がある中学生の皆さん,その知識や技術をもっと深め広げたいと思いませんか?

自分が興味を持って学んだ知識や技術が,将来の自分の仕事につながり,社会の役に立つならば,幸せな人生が送れることでしょう。 その道を開いてくれるのが電子制御工学科です。

電子制御工学科では,機械工学,電気電子工学,情報工学といった分野に共通する基礎学力を重視した教育を実践しています。 多くの演習を通して数学,物理の確かな学力を身に付け,多くの実験を通して力学,電気電子回路,情報処理などの実践力,応用力を身に付けます。

その結果として卒業生の進路は,機械工学,電気電子工学,情報工学だけでなく,航空工学,物理学など多くの分野に渡り,社会に出てからも活躍しています。

クローズアップEC【Vol.017】
特集:R06年度卒業研究,表彰テーマの紹介

金賞
「日本手話における非手指動作に注目した格助詞決定法の検討」
 柴野 爽(色彩情報処理研究室/指導教員 上村)

近年,聴者の用いる音声言語を認識する技術は著しく発展している。 一方で,聴覚障害者(ろう者)の用いる手話を認識・翻訳する技術は未だ発展途上にあり,実用的な手話翻訳システムは存在していない。 これにより,聴者とろう者の間にコミュニケーション格差が存在し,ろう者は医療現場や職場などの社会生活において深刻な問題に直面している。

手話翻訳システムが実現できていない要因として,日本手話における助詞決定の難しさが挙げられる。 日本手話は,手や指の形・腕の動きである手指動作(MS)と,顔の表情や首振り・体の動きである非手指動作(NMS)から構成されており,助詞などの文法的要素はNMSによって表現される。 しかし,従来の助詞決定法ではこのNMSが十分に考慮されておらず,手話認識後に自然言語処理によって決定している。

そこで本研究では,手話認識時にNMSから直接助詞を決定する手法について検証した。 新たに日本手話のデータセットを作成し,連続手話認識モデルであるCorrNet+を用いて学習・検証を行った。 その結果,認識率は非常に低く,これはデータ数の不足による未知語の存在や,話者の年代や出身地の違いによる手話表現差異が要因であると考察された。 また,「が」「の」「を」「に」「で」の5つの格助詞の予測性能を従来手法と比較した結果,提案手法の格助詞予測性能は従来手法の半分程度であった。

しかしながら,提案手法は従来手法よりも低負荷で,応答性が高いという大きな利点がある。 また,小規模なデータセットを用いてもこの性能を達成できたことは,今後の研究の発展可能性を示唆している。

銀賞
「強塩基性分子を用いたnチャネル型有機トランジスタの開発」
 下辺 礼心(有機光デバイス研究室/指導教員 皆川)

有機トランジスタを使用したC-MOSインバータ(NOT論理)は,柔軟性,伸縮性に優れるといった特長を持つ。 このことから,触られた感覚を電気信号として脳に送ることのできる,触覚機能をもつ人工皮膚シートへの応用が期待されている。 その実現にはpチャネル型及びnチャネル型の有機電界効果トランジスタ(OFET)が必要となる。 しかし,電極から有機半導体層への電子注入障壁は大きいため,良好な特性を示すnチャネル型OFETの報告例は少ない。 そこで本研究では,強塩基性のピリジン系誘導体であるPy-hpp2を電子注入層に使用したnチャネル型OFETの開発を試みた。

図に,Al電極基板上にPy-hpp2薄膜を積層した際の,電極表面の仕事関数とPy-hpp2の膜厚の関係を示す。 比較のためにAg電極の場合も示す。 Al電極の場合,Ag電極よりもPy-hpp2の膜厚が増加するにつれ電極の仕事関数が大幅に低減される(電子が有機半導体に注入されやすくなる)ことが明らかとなった。 これはPy-hpp2と三価のAlがPy-hpp2と配位結合したためと推測された。

以上より,この技術をトランジスタに応用すれば,電極/有機半導体層間の電子注入障壁が低減され,電子注入が容易(nチャネル型OFETを実現可能)になると考えられた。

銅賞
「ニューラルネットワークを用いたリングダウン重力波のパラメータ推定」
 若井 悠馬(データサイエンス研究室/指導教員 酒井)

重力波とは,天体などの大きな質量を持った物体が加速度運動をすることで,時空の歪みが波として伝わる現象である。 重力波は1915年にアインシュタインの一般相対性理論によって予測をされ,100年後の2016年にアメリカのLIGOが人類初の重力波を直接観測することに成功した。 重力波の直接観測は,一般相対性理論の基本的な正しさを証明すると共に,重力理論の研究の方向性を示す結果となった。

本研究ではブラックホールの連星合体による重力波を扱う。 インスパイラル重力波,マージ重力波,リングダウン重力波の3つの段階に分けられ,特にリングダウン重力波は重力理論の検証に有用である。 しかし,リングダウン重力波は減衰が速くノイズに埋もれてしまうため,解析が困難である。

先行研究では,リングダウン周波数(中心角周波数と減衰時定数)を様々な手法で推定しており,その一つが畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であった。 CNNはある程度の精度を得られていたが,まだ向上の余地がある結果であった。 そこで,本研究ではCNNとLSTM(Long Short-Term Memory)を組み合わせたCNN-LSTMを用いることでより精度の高いニューラルネットワーク(NN)の構築を目的とした。

今回注目するリングダウン重力波は合体したブラックホール固有の振動による重力波である。 重力理論が一般相対性理論から逸脱していても,観測データからリングダウン周波数を推定できるようにする必要があるため,重力波のシミュレーション波形においてリングダウン部を別の波形に置き換えたものを用いて学習を行う。

今回は入力波形をSNRが20から60の1次元の観測時系列データとし,出力をリングダウン部のリングダウン周波数の推定値とした。 学習データ数を1800,検証データを450,最適化関数をAdam,学習率0.001としてモデルの学習を行った。 そして,学習の結果を検証データの誤差率の平均値と標準偏差とで比較を行った。 比較の結果,平均値と標準偏差のどちらもCNN-LSTMの方が小さく,CNNより高い精度を示すことが確認できた。

今後の課題として,Transfomerなどの他のモデルを用いてさらなる精度の向上やモデルの比較を行っていきたいと考えている。

特別賞(学会発表を行った学生)

  • 「Influence of Vibration Directionality on Tactile Sensitivity on the Fingertips」,Tanyapoom TAECHASOMSUKDEE(フランク)
  • 「Development of Fully Solution-Processed Organic Field-Effect Transistors with Low Heating Temperature」,Kornchanok Watyam (チェルシー)
  • 「低分子材料を用いた塗布型有機トランジスタの開発」,酒井 朝陽
  • 「アントラセン誘導体を用いたnチャネル形有機トランジスタの開発」,下辺 礼心
  • 「物体検出AIを用いた金属製品における自動外観検査システムの開発」,諏佐 啓太
  • 「生体信号解析によるストレスの質や量の推定手法の検討」,梅沢 晄平
  • 「フォルマントに着目した音源分離精度の新しい評価尺度の検討」,小林 智哉
  • 「ニューラルネットワークを用いたリングダウン重力波のパラメータ推定」,若井 悠馬
  • 「重力波の到来方向推定におけるニューラルネットワークモデルの比較検討」,吉田 真慶
  • 「VRを用いた簡易型スポーツビジョン測定システムの開発」,山村 健也

ひとこと

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