高専は私を天職に導いてくれた場所

澁谷 健太さん

エヌシーイー株式会社 企画推進部

澁谷 健太

建設コンサルタントとして活躍する澁谷健太さん(所属先提供、以下同)

経 歴

2008年 長岡高専 環境都市工学科 卒業 同年、エヌシーイー株式会社へ入社

好きなこと、得意なことを貫いた学生時代

──現在は建設コンサルタント業界でご活躍の澁谷さん。この分野に進むきっかけは?

 私は“鉄オタ”で中学生の頃から県内外を旅していました。さまざまな街を訪れるうちに、次第に、まちづくりに携わりたいと思うようになり、長岡高専の環境都市工学科で都市計画や交通工学について学べることを知りました。「ここしかない!」と即決でした。

──入学して良かったこと、大変だったことは?

 勉強はあまり得意ではなかったので、授業についていけるか不安もありました。でも寮に入っていたので、先輩に教えてもらったり、同級生と一緒に試験勉強をしたりして乗り越えられました。進級するにつれ、専門科目が多くなりますが、それこそ私が学びたいことだったので苦にはなりませんでした。測量の実習、模型を使った水理の実験、コンクリート配合の実験など、興味を持って取り組んでいました。

──研究室で印象に残っていることは?

 4年生の後期から都市計画の研究室に入りました。最初は先輩のお手伝いで、ある町の聞き取り調査に参加しました。集落を一軒一軒訪問し、おじいちゃん、おばあちゃんに生活で不便なこと、困っている事を聞いてまわるうちに、買い物難民と呼ばれる人たちの存在が浮き彫りになりました。まちづくりとは、自分の理想郷を描くことではなく、そこに住む人たちの声を反映させることなのだと、身を持って知った出来事です。

──卒業研究のテーマはどのように決めましたか?

 先輩のテーマを引き継ぐ場合も多いですが、高専には学生のチャレンジを応援してくれる先生が多いです。私も指導教官に相談して5年生で新しいテーマを立ち上げました。「自治体が運行する公共交通のあり方について」です。旅行でバスに乗ることも多く、自治体による移動格差を肌で感じていたからです。当時はまだ珍しかった自治体バスを運行していた市に注目し、行政の担当者の方にヒアリングを行い、さらなるニーズや課題を調べていきました。

──進路も迷わず決まりましたか?

 高専で自分のやりたいことができたので、方向性を変えずに社会人になりたいと思いました。研究室のOBがいる弊社を訪問し、私の地元である新潟市で魅力ある地域づくりに貢献できる会社ということで、迷わず入社を志望しました。

高専とのつながりは現在も

──これまでの仕事内容について教えてください。

 入社後6年間は、自治体のまちづくり計画の策定に携わりました。念願だった公共交通に従事できたほか、地域住民の声をもとに公園の計画を立てたり、新潟市内の油田跡を文化遺産として評価するため有識者と連携したりと、さまざまな業務を担当しました。高専で研究対象としていた自治体の実際の公共交通計画も、弊社が携わっていたと後から知り、予期せずつながった縁も含めて、天職に就けたと感じました。現在は企画推進部で、自治体のニーズを引き出し、新たな提案をする仕事をしています。

公共交通の計画を立案するための調査。バス車内で利用者にヒアリングをする澁谷さん(入社3年目の頃)

──仕事をしていて「高専生の強み」を感じる瞬間は?

 我々の成果物は報告書や計画書などの文書やプレゼン資料です。図面など、視覚的なわかりやすさも含め、端的なまとめ方や構成力が求められます。ここには高専でレポートや卒業論文を書いてきた経験が生かされています。中身も大事ですが、それをどう伝えるのかも大切です。指導教員にはいつも「プロセスを大事に」と言われていましたが、研究成果を社会にどう還元するのかを常に意識することで染み込んだ感覚だと思います。

 人とのつながりでは、行政や施工会社にいる同窓生と一緒に仕事をする機会があったり、弊社と長岡高専は技術連携をしているので共同研究をしたり、先生に意見を求めたりしています。高専とは切っても切れない縁を感じています。

同じく環境都市工学科の卒業生で新潟市役所に勤務する長谷川喬さん(左)と打合せする様子

──学生の皆さんにメッセージをお願いします。

 まずは自分が面白いと思えるものを見つけて、とことん追求してください。それが直接仕事につながる場合もあれば、そうでない場合もありますが、興味を持つことで物事を吸収する力は各段に高まります。何事も“自分色”に染めたモン勝ちですよ。

【取材・文】堀川 晃菜(長岡高専2007年卒)

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