私の人生を変えた“高専ならでは”の環境

内藤 一真さん

株式会社ホクテツ 産機グループ 製造部 係長

内藤 一真

産業用の設備・機器メーカーで活躍する内藤一真さん。材料の寸法を確認する様子(所属先提供)

経 歴

2005年 長岡高専 機械工学科 卒業
同年、株式会社 大原鉄工所 入社
2013年 株式会社ホクテツ 入社

寮生活で社会人としての土台を築く

──高専を初めて訪れたのはいつでしたか?

 初めて高専の門をくぐったのは受験の時、大雪の日でした。高専を勧めてくれたのは中学の先生でしたが、地元の中学校から進学した先輩がほとんどおらず、あまり情報がないまま、試験当日を迎えました。なので、受験会場の雰囲気にも圧倒されてしまい、試験の手ごたえも半信半疑でした。

──合格の知らせを聞いた時のお気持ちは?

 中学校の先生が興奮気味に合格を知らせてくれました。私自身は喜びも束の間、入学と入寮に向けて慌ただしく準備をすることになりましたが、機械工学科で学べることを楽しみにしていました。昔から自前の工具セットを持つほど機械いじりが好きで、早く一人前のエンジニアになって自立したかったので、就職に直結する高専の教育システムにも魅力を感じていました。

──寮で5年間を過ごしてみて、いかがでしたか?

 まさか、ここまで私の人生に大きな影響を与える場所になるとは思いませんでした。今の自分があるのは高専と寮のおかげです。

 まず15歳からすると、上級生はとても大人に見えるんですよ。普通の高校であれば、保護者や先生が教育をする立場にあると思いますが、寮では上級生が下級生の面倒をよく見てくれます。誰かの悩み事や、困り事などがあれば、まず同じフロアにいる先輩の「階長」に相談し、一緒に解決していきます。そして「館長」「寮長」と階層的に役員がいて、学生が主体で運営をしています。まさに社会の縮図ですね。

内藤さんが5年間を過ごした「高志寮」(右)。左は女子寮の「清花寮」

──上下関係に慣れるのは大変ではありませんでしたか?

 私は中学校の野球部で目上の人との関係性に慣れていたこともあり、比較的スムーズに適応できました。とはいえ、最初のうちは勉強も寮生活も、必死で食らいついていましたね。寮生活が板についてくると、それが基盤となって学校生活も安定していきました。

 私も学年が上がるにつれ、館長や寮長、副寮長を経験しましたが、寮の運営に携わる先生との関係も「上司と部下」のようだったと思います。例えば生徒なら、勉強がわからなければ先生に聞きに行きますよね。社会人なら仕事でわからないことあれば、上司に聞きに行きます。高専の先生は、後者に近い感覚で、頭ごなしに教えることはしないんです。もちろん手助けや、いざという時は責任を果たしてくれますが、基本的には学生の主体性を尊重してくれます。寮の運営も指示されるのではなく、相談しながら進めていました。

──先生と学生、そして学生たちの間に信頼関係があるから成り立つのですね。

 そうですね。私の人間性は、寮でお世話になったみんなに育ててもらったと感じています。高専生は実践的な専門教育を受けているから、すぐに社会で活躍できるとよく言われますが、知識や技能だけでなく、人間性も磨かれるからこそ、社会に飛び出せるのだと思います。

5年間あれば、挽回のチャンスも!

──機械工学科のカリキュラムはいかがでしたか?

 高専といえば、実験・実習のイメージが強かったので、最初は少しイメージと違った部分もありました。専門課程に進む前に、やはりある程度、基礎知識のインプットは必要になります。1年生の頃は、その勉強についていけるか、不安になり……。実は入学して半年くらいは、今からでも辞めて高校に入りなおした方がいいんじゃないかと真剣に悩んでいました。

 でも、そこで踏ん張って良かったです。3年生以降は実習の割合もぐんと増え、高専にある機械工場で、さまざまな装置に触れることができました。それは会社に入ってからダイレクトに役立った経験です。

──これまで、どのようなお仕事をされてきましたか?

 主に生産管理の仕事に従事しています。高専卒業後に入社した会社では、鉄鋼製品を製作する際に必要な鋼材や機械加工部品を設計図面から把握して手配するなど、機械を完成させるために必要な作業に広く携わっていました。高専で装置の扱いに慣れていたことだけでなく、機械基礎や材料力学といった基礎知識を身につけられたからこそ、どんな業務にも臆せずに取り組むことができています。

──高専で学ぶ後輩の皆さん、進学を検討している皆さんにメッセージをお願いします。

 高専は、きっとあなたの世界を広げてくれる場所です。そして5年間という時間が与えられます。私のように勉強面で苦しい時期もあるかもしれませんが、部活などの課外活動でも、何か一つ自信を持てるものを見つけてほしいです。社会にでれば「総合力」が試されます。自分自身を模索して、人間的に成長できるチャンスをたくさん掴んでください!

【取材・文】堀川 晃菜(長岡高専2007年卒)

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