長岡高専は「第二の故郷」です

縄 真理さん

株式会社ネクスコ・エンジニアリング新潟 施設施工管理課 ※2022年3月現在

縄 真理

高速道路のスペシャリストとして活躍する縄真理さん。施設保全点検課に所属していた頃の様子(所属先提供、作業服は以前ものです)

経 歴

1995年 長岡高専 電気工学科(現・電気電子システム工学科)卒業
同年、旧 北陸道路エンジニア株式会社へ入社。
その後、電気管理技術者、新潟県任期付職員(電気)などを経て現職

社内初の女性技術者としてのあゆみ

──電気系の専門職として、インフラ関係の仕事に就くことは珍しいですか?

 インフラというと土木系のイメージがありますが、電気や機械など施設系の人も多いです。道路情報板や料金所をはじめ、高速道路においても電気設備は不可欠。私もトンネル内の照明交換から始まり、受変電設備や発電設備、道路の付帯設備のメンテナンスなど、主に保全業務に携わってきました。現在は施設施工管理課で施工管理の仕事をしています。設計報告書をもとに発注をして、業者との調整を行い、道路付帯設備の改造工事や更新工事を進めています。

──高専に入学した当初から、今の職業を目指していたのですか?

 入学当初は音響関係に進みたかったんです。父の仕事の影響で、子どもの頃からオーディオなどの機械いじりが好きでした。高専卒だった父から話を聞き、自分も高専が向いているだろうと思っていました。人と同じ道より、自分の好きなことを究めかったからです。

 一つだけ想定外だったのは、私の在学中に音響が専門の先生が転任してしまったこと。それで私も思い切って方向転換することにしました。車の免許を取り、ドライブも好きだったので、道路に携わるのもいいなと思いました。

──女性技術者を目指す上での苦労はありましたか?

 私は初の女性技術者として入社することになったのですが、高専で周囲に男性が多い環境にも慣れていたので気になりませんでした。周りの方が気を遣ってくれたかも(笑い)。

 私はとにかく現場に出たかったので、高専の就職担当の先生にもそう伝えていました。先生がいくつか条件に合致する企業を探してくれて、当時の北陸道路エンジニアを訪問したら、そのまま面接をする流れになり、あれよ、あれよと採用が決まりました。

──就職活動はスムーズに進んだのですね。

 もう一社、別の会社も受けて、残念ながらそちらは縁がなかったのですが、面接会場で大学生に「何社目? 私は20社以上」と言われて驚きました。メーカーに就職した先輩からも「高専生は即戦力になる」という話を聞いていたのですが、高専生が就職に強いことを改めて実感しました。一方で、大学に進学した先輩が使っていた教科書が、高専の教科書と同じだったのです。高専生であることに自信をもって社会に出ることができました。

──どのようなキャリアを歩んでこられたのですか?

 入社後は資格取得に励みました。電気工事士や、電気主任技術者試験の三種(電験三種)を取得するため、高専で使っていた教科書を引っ張り出しました。「先生がここ大事って言っていたな」とか「見たことあるな」と思い出しながら、さっそく高専で学んだことが役立ちました。

 その後は結婚、出産、育児とライフワークとの両立を図る中で、一度会社を離れた時期もありました。その間も資格のおかげで、電気管理技術者として小売店の電気設備の責任者として働いたり、県庁の電気職として無線業務を担当したりしました。その後、縁があって現在の会社に戻りました。

──電気関係の中でもいろいろな職務を経験されているのですね。

 それこそ、つぶしが効くのは高専生の強みだと思います。電気電子システム工学科であればコンピューター系から、通信、半導体、機械に近い領域まで幅広く身に付けるので、卒業研究で方向性が決まっても、それに縛られる必要はありません。ちなみに私は在学中に家庭教師のアルバイトもしていたので、会社を離れていた時期に塾講師もしました。いろいろ経験しておくことが大事です。

とにかく楽しかった! 高専生活

──他にも高専で印象に残っていることはありますか?

 学園祭ですね。1年生から演劇に参加して、5年生では副実行委員長として初めて花火の打ち上げに成功しました。準備の苦労も吹き飛ぶほど嬉しかったです。地域の人に説明に行ったり、スーツを着てスポンサー企業をまわったり、社会経験にもなりました。行事を通じて縦・横のつながりも広がりましたが、5年間同じクラスだった仲間は一生の財産です。苦楽を共に乗り越えた仲間とは、久しぶりに会ってもすぐに当時の感覚に戻ります。高専は“第二の故郷”です。

──学生の皆さんへメッセージをお願いします。

 よく遊び、よく学んでください。今しかできないこと、高専でしかできないことに全力で取り組んでほしいです。実は私の娘も、同じ学科に進学し、この春卒業を迎えます。中学生の頃、進路に悩んでいた娘に「高専は楽しいよ!」とアドバイスしたことは間違っていませんでした。成人した学生もいる高専では一人ひとりが大人として扱われます。自分の責任のもと、自由が謳歌できる環境で、ぜひ存分に、視野も経験の幅も広げてください!

【取材・文】堀川 晃菜(長岡高専2007年卒)

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