TCC のダウンロードとインストール
ここでは,TCC の 32bit 開発環境をローカル PC の C:\tool\tcc
にインストールする手順を説明します.
インストールを行うには,管理者 (Administrator) 権限を持つユーザで作業を行うことを推奨します.
- Tiny C Complier (英文) の Web ページを開きます (図1).
図1・Tiny C Compiler の Web ページ - 図1 下部にある Download のリンクをクリックすると,図2 のファイルリストが表示されます.
図2・Tiny C Compiler の Download ページ - 最新の 32bit 開発環境をインストールするためには
tcc-0.9.27-win32-bin.zip
(472KB) をダウンロードします※1. ダウンロード先は USB メモリではなく,ローカルハードディスクの適切なフォルダ (C:\temp
など) を指定しましょう. - ダウンロードした
tcc-0.9.27-win32-bin.zip
を展開 (解凍) します. Windows 標準のエクスプローラを利用する場合は,tcc-0.9.27-win32-bin.zip
を右クリックしてすべて展開を選び,展開先としてC:\tool
を指定すると,C:\tool\tcc
というサブフォルダが作成され,ファイルが展開されます. 展開後,C:\tool\tcc
のプロパティを調べてみたところ,サイズは 1.80MB と表示されました. - 環境変数
PATH
にC:\tool\tcc
を追加します. 具体的な手順は Free C++ Compiler のローカルインストール時の基本設定 を参考にしてください※2.
コマンドプロンプトを開き,tcc とタイプして Enter キーを押してみます (tcc の大文字/小文字は区別する必要はありません).
もし'tcc
'は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。といったメッセージが表示されたら,環境変数の設定に失敗している可能性が高いので,よく見直して修正しましょう.
Tiny C Compiler 0.9.27 で始まる TCC の使用法に関する英語のメッセージが表示されれば,正しく設定が済んでいるものと思われます.
次の動作確認に進みましょう.
TCC の動作確認
簡単な C 言語のプログラムを作成して,TCC の動作確認をしてみましょう.
- メモ帳などのテキストエディタを起動して,次のプログラム (ソースコード) を入力します.
#include <stdio.h> int main( ) { printf("Hello, C world\n"); return 0; }
- 入力し終えたら
hello.c
と名前をつけて,適当なフォルダ (C:\temp
など) に保存しましょう. メモ帳でこのソースコードを作成する方は,保存時にhello.c.txt
となってしまわないよう気をつけてください (失敗したらリネームすればよいだけですが). - コマンドプロンプトを開き,ソースコードを保存したフォルダ (ディレクトリ) をカレントワーキングディレクトリにします.
cd /D c:\temp Enter
- 次のようにタイプして TCC でソースコード
hello.c
をコンパイルし,実行させます.tcc -run hello.c Enter
- すぐ下に Hello, C world と表示されたら成功です.
動作確認が終わったら,TCC の使い方 (オプション指定) にも目を通しておきましょう.
注意:
printf
文で和文のメッセージを出力する場合には,ソースコードを保存する際の文字コードと,コマンドプロンプトの文字コード (コードページ) が一致するようにしなければなりません.
デフォルトのコマンドプロンプトはシフト JIS (Shift_JIS
) に設定されているので,ソースコードもシフト JIS (メモ帳の場合は ANSI
) で保存すればよいでしょう.
しかし,文字によっては正しく表示されない場合があるので,TCC のポータブル化 の設定と同様に,UTF-8 で統一するほうがよいでしょう.
シフト JIS の問題点について,より詳しく知りたければ Wikipedia / Shift_JIS などを参照してください.
TCC のポータブル化
ここでは,USB メモリに割り当てられたドライブレターを U:
として,TCC の 32bit 開発環境を U:\tool\tcc
にインストールする手順を説明します.
- ローカル PC の
C:\tool\tcc
フォルダをU:\tool\tcc
にコピーします. あるいは,TCC のダウンロードとインストールの1~4までを実施します. ただし,手順4の展開先はU:\tool\tcc
とする必要があります. - テキストエディタを起動して,次のような VB (Visual Basic) スクリプトを入力します※3.
' TCC ポータブル設定 Option Explicit Dim objWshShell,objFS,objEnv,objStream Dim strDrv,strTccPath Set objWshShell = WScript.CreateObject("WScript.Shell") Set objFS = WScript.CreateObject("Scripting.FileSystemObject") ' カレントドライブのドライブレターを取得する strDrv = objFS.GetDriveName(WScript.ScriptFullName) ' tool\tcc フォルダが存在するかをチェック strTccPath = strDrv & "\tool\tcc" If objFS.FolderExists(strTccPath)=0 Then WScript.Echo strBccPath & "が見つかりませんので終了します" WScript.Quit 0 End If ' 環境変数PATHの先頭にtool\tccを追加 Set objEnv = objWshShell.Environment("Process") objEnv.Item("PATH") = strTccPath & ";" & objEnv.Item("PATH") ' コマンドプロンプトウィンドウを開き,文字コードを UTF-8 にする objWshShell.Run "%COMSPEC% /K ""chcp 65001"""
- 入力し終えたら
tccenv.vbs
と名前をつけて,USB ドライブ上の適当なフォルダ (U:\bin
など) に保存しましょう. なお,保存するときには文字コード (エンコード) をシフト JIS (Shift_JIS) にする必要があるようです. 「メモ帳」でこのスクリプトを作成する方は,保存時の文字コードを ANSI に指定するとともに,ファイル名がtccenv.vbs.txt
となってしまわないよう気をつけてください (失敗したらリネームすればよいだけですが).図3・エラーメッセージ - エクスプローラなどで USB ドライブの中身を表示し,フォルダ
bin
の中にあるtccenv.vbs
を起動します. そのときコマンドプロンプトが開かれたら,次に進みます. 右の図3 のようなエラーメッセージが出力された場合には,TCC の展開先に間違いがないか確認してください. - コマンドプロンプトで tcc とタイプして Enter キーを押してみます (tcc の大文字/小文字は区別する必要はありません).
もし'
tcc
'は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。といったメッセージが表示されたら,ここまでの作業のどこかでミスを犯しているはずです. Tiny C Compiler 0.9.27 で始まる TCC の使用法に関する英語のメッセージが表示されれば,正しく設定が済んでいるものと思われます.
別解として,Free C++ Compiler のポータブルインストール時の基本設定 (別解) のような方法も考えられます.
TCC の使い方 (オプション指定)
一般的なコンパイル型のプログラミング言語では,次のような 3 段階の手続きでプログラム開発を進めます.
- テキストエディタでプログラム (ソースコード) を作成します.
- コンパイラを起動して,ソースコードを実行プログラムに変換します. この処理をコンパイルと呼びます.
- 実行プログラムを起動して,動作確認を行います.
一般的な C コンパイラでは,手順 2 で実行プログラムをファイルとして生成するほか,中間的なファイルを生成するものがあります. このため,プログラミング学習を進めていくと,フォルダの中に多くのファイルがたまっていくこととなります.
TCC では上の手順 2 と 3 をまとめて,実行プログラムをファイルとして作成せずに動作させることが可能です.
この機能をうまく活用すると,フォルダの中をスッキリ保ちながら,軽快にプログラミング学習を進めることができるかもしれません.
source.c
というソースコードを,実行ファイルを生成しないで動作させるには,次のように tcc
を起動します (-run
というオプションを指定します).
tcc -run source.c Enter
もちろん,TCC でも実行ファイルを生成するといった使い方も可能です.
自分が作成したプログラムを他の人に配るようなとき,実行ファイルを渡せば,相手が開発環境を用意する必要はありません.
また,自分なりのノウハウが詰まったソースコードを渡さないことで知的財産の保護にもつながります.
program.c
というソースコードをコンパイルし,program.exe
という実行ファイルを生成するには,次のように tcc
を起動します (-o
というオプションを指定し,出力されるファイル名を指示します).
tcc -o program.exe program.c Enter
tcc
には他にもたくさんのオプション指定があります.
単に tcc Enter としたときに表示される説明や,U:\tool\tcc\doc
フォルダにある tcc-doc.html
,tcc-win32.txt
を読んでみるとよいでしょう (すべて英文ですが).