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プロジェクト研究の紹介

平成15-19年度の5年間にわたり、NEDOによる受託研究を実施しました。このため、学内にプロジェクト・チームを立ち上げると同時に、主たる研究活動の場として地域共同テクノセンター・プロジェクト研究室が提供されました。プロジェクト・チーム構成員は、片桐裕則(電気電子システム工学科・教授)、山崎 誠(電気電子システム工学科・教授)、大石耕一郎(機械工学科・准教授)、荒木秀明(物質工学科・准教授)、竹内麻希子(電気電子システム工学科・准教授)、神保和夫(教育研究技術支援センター第二技術グループ・技術職員)の6名です。以下に、本プロジェクトの目的および研究成果等の概要をご紹介します。

1.研究テーマ

Project CZTSでは、「新型薄膜太陽電池の研究開発」をメインテーマとして活動を行っています。具体的には、下記のテーマで研究を進めています。
① 硫化法によるCZTS薄膜太陽電池の研究開発
② 同時蒸着法による超高品質CZTS光吸収層の研究開発
③ 大気開放CVD法による酸化物透明導電膜の研究開発

2. 研究概要及び研究成果

CZTSはCu2ZnSnS4の略称です。CZTSは、次世代型薄膜太陽電池として量産・販売が開始されたCIS(CuInSe2)の希少元素インジウムを亜鉛(Zinc)およびスズ(Tin)で、有毒元素セレンを硫黄(Sulfur)で置換する事によって得られるⅠ2-Ⅱ-Ⅳ-Ⅵ4族の化合物半導体です。CZTSの特徴は、その構成元素が地殻中に豊富に存在すること(Cu:50ppm, Zn:75ppm, Sn:2.2ppm, S:260ppm)、及びいずれの元素も毒性が極めて低い事にあります。これに対し、CIS中のインジウム、セレンの地殻中の含有量はいずれも0.05ppm以下であると言われています。ちなみに、1ppmは地殻1トン中に1グラム存在するという量に相当します。従って、CZTSは地殻中に豊富に存在する安価な汎用原料だけで構成できる新しい太陽電池材料ということができます。

①は、平成15~17年度の3年間、NEDOの革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発として受託研究を行い、その後、民間企業との共同研究で継続しているテーマです。写真1に、主たる実験装置の全体像と実験の様子を示します。図1に、太陽電池としての特性が評価できるJ-V特性を示します。このJ-V特性から得られた6.77%の変換効率は、希少元素や有毒性元素を含まない化合物薄膜太陽電池では世界最高の変換効率となっているのです(2009年1月現在)。写真2には、実際に作製したCZTS薄膜の断面写真を示します。この写真には、厚さ1μmのMo上に厚さ2.5μmのCZTS光吸収層が乗っている様子が写されています。人間の髪の毛の太さが平均80μmと言われていますので、いかに薄いものであるかがわかります。

実験の様子 【図1】J-V特性
CZTS薄膜断面図


②は、平成18~19年度の2年間、NEDOの太陽光発電システム未来技術研究開発として受託研究を行い、現在も継続して研究実施中のテーマです。同時蒸着装置により、単結晶ウェハ上に配向した超高品質CZTS薄膜を作製し、詳細な物性を明らかにしようというプロジェクトです。写真3に、実際の実験の様子を示します。使用している装置は、小型の水冷MBE装置です。

実験の様子(小型水冷MBE装置)

③は、安価な酸化透明導電膜の作製技術の開発を目的としています。写真4に、本テーマで用いている大気開放型CVD装置を示します。本作製法は、大気中の酸素を積極的に取り込む事で、酸化物薄膜を作製する手法です。名称が示す通り、本装置では、真空チャンバー・真空ポンプを一切使用していません。そのため、初期投資・メンテナンス費用が、極めて低コストであるという大きなメリットを持っています。最終的には、薄膜太陽電池の安価な窓材料としての応用を視野に入れた研究です。 本材料系におけるこれまでの最高変換効率は、本校が発表している6.77%です(E-MRS 2008 Spring Meetingにて報告)。今回紹介しているプロジェクト研究(Project CZTS)では、学科の枠を超えた教員同士が連携し、各々の得意分野での先端的研究を実施することで、CZTS新型薄膜太陽電池の変換効率の倍増をもくろんでいます。

大気開放型CVD装置


地域企業の皆様へ


Project CZTSを遂行するに当たって、各種の薄膜作製装置、評価装置を導入しております。高専の研究レベル視察を兼ねての見学に、是非おいでください。
太陽電池普及のための低コスト化を考える場合、寿命の観点からのアプローチも重要となります。そのためには、より信頼性の高い長寿命パッケージング技術の開発が必要です。これには、電気電子系の産業界のみならず、機械加工業界の研究への参入が重要となります。さらに、我が国の約半分が雪国であり、将来的には雪国における太陽電池パネルの設置が不可欠となることを考慮すると、雪国長岡でこそ実証試験を裏付けとした新規パッケージング技術の開発が可能であると考えています。つまり、新潟県内の電子材料メーカー、真空機器メーカー、精密機械メーカーと長岡高専との産学連携によって太陽電池産業クラスターを構築することが求められているのです。


興味を持たれた中学生・高校生・高専生へ

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長岡高専では、6名のスタッフと共に、現在多くの学生が実際に太陽電池の作製を行っています。世界のベストデータを書き換えるのは、彼らかもしれませんし、将来のあなたかもしれません。長岡高専に入学して、未来のエネルギーを創り出してみませんか?