国立高専機構長岡高専 電子制御工学科

機能デバイス研究室(梅田研究室)

研究内容2


◆◆◆ 衝撃・振動による圧電式発電装置 ◆◆◆


発電といえば、機械的運動エネルギを電気エネルギに変換する電磁誘導方式が真っ先に思い浮かぶことでしょう。大きなパワーを作り出す発電所などは、水力・火力・風力・波力・原子力みなほとんどがこの方式です。また、光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池は一般家庭にまで普及してきています。昨今では化学エネルギを電気エネルギに変換する燃料電池が脚光を浴びており、実用化が検討されています。

さて、圧電素子は機械エネルギ・電気エネルギ変換が容易なことから、昔から発電装置への応用が多くの発明家により研究されてきたことと思います。しかしながら、圧電方式の発電は、電磁誘導方式等の発電に比べ大変難しく、ライターの着火装置以外目立ったものはほとんどないのが現状と思われます。しかし、圧電素子はセンサーデバイスとしては十分な実績があります。すなわち、微小発電素子として実際に活用されているのです。

一方、新エネルギ(クリーンエネルギ)開拓に対する積極的な時代要請と共に、電子部品の低電力化が進み、さらにはモバイル製品が急速に普及してきています。機械的振動や衝撃は身の回りで容易に得られるエネルギ源であり、圧電方式による発電も時代の要求と一致するのではないかと考えています。

本研究グループは、この圧電方式による発電装置について研究をしております。さて、身の周りにあるエネルギ源となりうる機械的エネルギを考えてみましょう。それは静的か動的か? 連続的か断続的か? 圧電による発電を考えた場合に、機械エネルギ・電気エネルギ変換効率が高くなるのは、その共振周波数で加振された場合ですが、その周波数で連続的に振動する機械的エネルギ源は身の周りに実在するかどうか疑問です。もし無いのであれば、何らかの方式で作り出せば良いこととなります。

そこで、本研究グループでは、圧電振動子に外部から衝突による機械的衝撃エネルギを印加し、圧電素子に振動を励起して電気エネルギを取り出す発電装置を提案しています。この方式での、入力される機械的衝撃・運動エネルギと出力される電気エネルギとの基礎的な関係を明らかにするために、鋼球と圧電振動子の衝突実験を行い、振動子の電気的等価回路を用いた数値解析結果と比較しながら、エネルギ変換効率の向上化や、得られた電気エネルギの蓄電方法、さらにはその応用用途等を検討しています。

いくつかの課題も残されていますが、本衝撃・振動による発電装置の特徴からして、小型・微小パワー発電すなわち、マイクロ発電装置としての応用が最適ではないかと考えており、本発電装置の原理を応用した製品の実用化についても技術的なお手伝いをさせていただいております。一方、圧電素子に静的な歪を連続的に加えて発電する商品も発売が開始されています。圧電素子の新たな応用分野が芽生え始めたと言って良いでしょう。今後、急速にこの分野の研究・開発・実用化が進展することを期待しておりますし、そのお役に立てれば幸いです。

 

 


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