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タイマーリレーの作製

はじめに

装置を間欠でON/OFF稼働する場合に必要です。うちで最もポピュラーな使い方はポンプの電源をリレー制御して、ポンプの電圧調整だけで達成できない小流量(数百 μL/min)を設定するために使用しています。例えば、3Lのファーメンターから一日300 mlしか余剰菌体を引き抜かない場合、計算上、設定流量は0.208 ml/minですが、こんなに低流量で安定動作するペリスタポンプは一般的にありません。このような場合、例えば、通常流量1 ml/minでしか動かせないペリスタポンプについて、1分ON、9分OFFとして動作させれば、擬似的に0.1 ml/minの流量を達成することができます。

ツインタイマーリレー.jpgタイマーリレーについて、市販品も安価なのでこれらの完成品を使用するのも便利です。例えば、コンセントタイマーでネット検索してヒットする商品や、決められた時間間隔で正確に動作するタイマーリレーモジュール(例: Panasonic PM4H-W ツインタイマー(PM4HW-H-AC240VW)、DINレール端子台 ATC180031)などです。PM4H-Wの配線図は以下の通りです。


ここでは市販品ではなく、マイコンのArduinoとリレーを使ってタイマーを作製する方法を紹介します。Arduinoを用いてタイマーリレーを作製する場合の利点は次の通りです。1) 複数台のタイマーを一台で管理できる。例えば、回分式リアクター(通称、SBR)ではポンプAを0-5 min の間ON、続く、6-10minではポンプA OFF、ポンプBをONといったようなシーケンス制御を行います。通常、このような制御を行うために高価なリレー盤を使いますが、Arduinoを使えば簡単に設計できます。もう一つの利点は、乾電池駆動可能であるというところです。乾電池駆動できるので、オートサンプラーのような屋外で稼働させる装置で便利です。オートサンプラーについては別のページで作成方法を紹介しています。

材料

  1. Arduino UNO: keyestudio UNO R3 開発ボード (amazon, ASIN B01JRFS1QI)
  2. 収納ケース(100均の食品保存ケース、空きチップケースなど、Arduino類が入ればなんでも構いません。)
  3. ソリッドステートリレー (以下のどちらかで構いません。)
    • (要組み立て)ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット 25A(20A)タイプ (秋月電子通商 K-00203) 250円
    • (完成品) 大容量ソリッドステートリレー(SSR)24V~380V (秋月電子通商 I-08620) 1,000円
  4. 電線: VFFビニル平形コード VFF 1.25SQ 10m
  5. 電工ペンチ(例えば、ロブテックス電装圧着工具FK6および)
  6. 圧着端子 (例えば、ニチフ TMEV 1.25Y-3.5-RED)
  7. 電線(単芯のワイヤ): 例えば、耐熱通信機器用ビニル電線 2m×10色 (秋月電子通商 P-08996)
  8. ワイヤーストリッパー (例えば、ベッセルワイヤーストリッパー 3500E-1)
  9. コンセントプラグ オス/メス 各1組、(スナップキャップ、平型コネクターボディなど)
  10. ACアダプター 9V 1.3A (秋月電子通商 M-01803)
    • 乾電池駆動させる場合、9V乾電池とバッテリースナップで代用します。
  11. M3スペーサーとM3ナット、ネジ; 例えば、スペーサー(10mm)セット (秋月電子通商P-01864)
    • Arduino、リレーモジュールをケース固定するときに基盤の「足」としてつけておくと便利です。無くても構いません。

作製方法

(ソリッドステートリレーの組み立てが必要なら、付属する説明書に従ってハンダしてください。数個の部品をハンダ付するだけなので簡単な作業です。この組み立て作業が面倒なら完成品の大容量ソリッドステートリレーを購入してください。)
リレーを接続するコンセントプラグを作製します。ビニルコードをある程度の長さで切り、片方を中央から裂いて広げます。別にビニルコードを切り、こちらは中央から完全に裂いて、一本線にします。用意した一本線をさきほどの裂いて広げたところと同程度の長さに切りそろえます。なお、コードの長さ(特にコンセントオスプラグ側)は設置する箇所から電源までの長さに合わせて調整してください。

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コンセントプラグに接続するビニルコードの末端5mmくらいを電工ペンチでむきます。圧着端子を電工ペンチで取り付けます。コンセントプラグを開け、圧着端子をネジ固定します。これでリレー制御する装置を接続する部分が完成しました。つまり、オスプラグ側をAC100V電源(一般的な壁コンセント)、メスプラグ側にタイマー制御したい装置のコンセントを接続します。ソリッドステートリレーがOFFの場合は、リレーの部分で回路が途切れているのでタイマー制御したい装置へ電源が供給されることはありませんが、Arduinoが信号を出してリレーをONにすると装置へ電源が供給される仕組みです。
なお、見栄えを良くするなら、ビニールコード同士をテープで巻くなどして、1本のコードのようにまとめておきます。

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Arduinoとソリッドステートリレーを収納ケースの中に設置します。Arduinoとリレーはスペーサーで床から浮かせた状態で固定するとぐらつくことがなく、安心です。スペーサーで収納ケースに固定する場合、収納ケースにネジ穴を開け、ネジ固定してください。M3ネジなので3 mmのドリルです。「見栄えはどうでもいい」という場合なら、スペーサーもネジ固定もせず、ケースにしまってもらって構いません。
なお、ArduinoのUSBケーブル等を通す穴をケースへ開けたい場合、ドリルビットで丸穴を開けてもいいですし、四角い穴がよければ、マジックで四角形を下書きし、その部分をカッターナイフで切ります。もちろん、カッターナイフではプラケースに穴を開けられないので、直前にガスコンロやバーナーでカッターナイフの刃を十分に熱します。そうすると、バターのようにサクサク切ることができます。

タイマーリレー回路.jpg図のように配線します。リレーユニットAC側: リレー側コンセントのプラグ末端をAC側にハンダ付。大容量SSRの場合は24〜300VACの1, 2側(極性無し)へ圧着端子で固定します。リレーユニットDC側: 電線をハンダ付します。マイナス側はArduinoのGNDピンに、プラス側は以下のスケッチで使用する番号のピンに差します。

配線が終わったら、Arduinoへタイマー動作を指示するプログラム(スケッチ、以下、青字の部分。)を書き込みます。ArduinoをパソコンへUSBケーブルで接続、Arduino IDE (フリーソフト)でスケッチを書き込みます。このあたりは様々な解説がweb、書籍上にあるので割愛します。。今回のスケッチはデジタル8ピンをHIGH/LOWすることで電圧5Vの出力をON/OFFし、リレーに接続した回路を開閉しているプログラムです。開閉のタイミングは5,000 msec (= 5秒)です。複数のリレーを制御する場合など、別のピンを使いたい場合、ピン番号を追加・変更して使ってください。

// Arduinoタイマーリレースケッチ

void setup() {
Serial.begin(9600); // シリアル通信の初期化
pinMode(8, OUTPUT); //8番ピンを出力用として使う
}
void loop() {
digitalWrite(8, HIGH);
delay(5000); //リレーをonにしておく時間(msec)
digitalWrite(8, LOW);
delay(5000);//リレーをoffにしておく時間(msec)
}

スケッチの書き込みが終了したら、Arduinoをパソコンから切り離し、リレー側プラグのメスコンセントに制御したい装置のコンセント、オスコンセントは通常の壁等のコンセントに接続します。Arduinoへ9Vアダプターを接続すると動作開始です。タイマーの動作確認をするなら、コンセントメス側にスマホ充電器等を取り付け、リレーがONになるタイミングで動作を開始するか確認してください。乾電池駆動にする場合、9Vアダプターの代わりに9V乾電池を使用します。接続にはDCプラグ付バッテリースナップ(秋月電子通商 P-07356)を使います。


環境微生物工学研究室